月間市況概況 2018年6月分
【為替】
中国のみならずEUやメキシコも対米報復追加関税に動いたことから、一時的に円が買われる局面もありましたが、引き続き好調な米雇用統計や小売り売上の改善等を背景とする米株高、米国債券利回りの高止まりと、イタリアのEU離脱懸念やブレグジット交渉への懸念、英国やユーロ圏景気の陰りならびに結果としての欧州株安等を材料に、米ドルは総じて堅調な推移となりました。 史上初の米朝首脳会談は、開催には至ったものの玉虫色の宣言採択に終わり、為替市場では材料視されませんでした。月間では、円は、対米ドルでは1.8%、対ユーロでは1.7%程度の円安となりました。
【債券】
米国金利は、欧州での金利上昇や、FRBの利上げ、ECBの利上げへの慎重な姿勢に加えて、米中貿易摩擦への懸念から、金利は上下したものの最終的には前月とほぼ変わらずでした。欧州も同様に、金融政策の正常化への期待から金利が上昇したものの、政策金利を2019年夏まで据え置く方針から下落し、ほぼ前月並みとなりました。その他欧州の各国金利動向は下落傾向でした。米国のスプレッドセクターは、米国国債対比では証券化セクターがほぼニュートラルであった一方、Corporate、特にUtilitiesが低迷しました。
【株式】
株式市場は、欧州の政治不安の後退と米国の堅調な経済指標を好感し、前半は上昇しましたが、米国の関税強化の動きが対中国だけでなく対欧州にも広がり、貿易摩擦拡大に対する懸念から、月末にかけては調整色が強まりました。月間で先進国市場は米ドルベースで0.0%の下落、新興国市場は通貨下落が止まらず4.2%下落しました。日本株式市場も月末にかけて調整色が強まり、TOPIXベースで0.8%下落しました。
先進国市場のセクター別騰落率をみると、この数か月相対的に冴えなかった生活必需品セクターの上昇率が最も大きく、2.7%上昇しました。最も下落率が大きかったのは資本財セクターで、2.5%下落しました。